8強進出を目指し、今日17日に甲子園3回戦に登場する仙台育英(宮城)と鶴岡東(山形)は16日、それぞれ最終調整を行った。140キロ超の4投手に注目が集まる仙台育英だが、捕手もあらゆる局面に対応できるように、複数制を敷いている。甲子園から2番を背負う1年生の木村航大を、12番の3年生・猪股将大が後方支援する。センバツ準Vの習志野(千葉)に完勝し一躍、全国区となった鶴岡東は、生粋の「高校野球マニア」山路将太郎内野手(2年)が、「大好き」な関東第一(東東京)へ全力でぶつかる覚悟だ。

   ◇   ◇   ◇

投手陣のみならず、捕手陣も総力戦だ。仙台育英の3年生捕手猪股が、確かな存在感を放っている。背番号2の1年生捕手木村にアドバイスを送りながら、自らもいつでも出場できる準備を整える。「ベンチにいてもいろいろなプレーの確認をしてくれるので助かる。ムードメーカーでもあるし」と千葉蓮主将(3年)。県大会の背番号2から12番となっても、チームに欠かせない男だ。

1回戦の飯山(長野)戦では、1年生の木村に代わり途中出場も2三振。2回戦の鳴門(徳島)戦で甲子園初先発し、初回に2点適時二塁打を放ち、ビッグイニングの原動力となった。塁上では笑顔がはじけたが、4回に鈴木千寿投手(3年)が連打を浴びると、バッテリーごと交代となった。須江航監督(36)が掲げる、あらゆるケースを想定した緻密な野球の下では、当然の流れだった。猪股も「木村の守備力は尊敬している。後ろに心強いキャッチャーがいるから、自分も安心して試合に臨める」と笑顔でバトンをつないだ。

福島・会津若松市出身で、会津三中時代は福島ホープス会津リトルシニアでプレーした。地元出身の楽天西巻賢二(20)、笹川雄平(仙台大1年)にあこがれ入学したが、周囲のレベルの高さに自信を失いかけたこともあったが、持ち前の明るさではい上がってきた。

木村も先輩に感謝しきりだ。「技術も配球もアドバイスしてくれるし、気遣ってくれる。自分を成長させてくれる大きな存在です」。好きな言葉は「功は人に譲れ」。「自分は役割を果たすだけ。木村が伸び伸びやってくれれば、相乗効果にもなりますから」とタッグを組んで、豪華投手陣をリードする。【野上伸悟】