奥川さんを優勝投手に-。その合言葉を胸に、投手陣が一丸で勝利をつかんだ。

先発は荻原吟哉投手(2年)。「もう1回奥川さんをマウンドに立たせる。絶対優勝投手にするんだ、とピッチャー陣で言っていた。何が何でもという思いでした」。初回、先頭打者に左翼へ二塁打を浴びるも無失点で切り抜けると、2、3回と3者凡退。4回にソロ本塁打を許したが、その後は走者をだしながらも要所を抑え、7回5安打1失点。8回からは寺沢孝多投手(3年)が2回2安打無失点と危なげなく締めた。

7回途中、荻原の右指がつりかけた。「やばいと思った」。助けたのは仙台育英・小濃塁外野手(3年)だった。ドリンクを届けてくれた小濃に、荻原は「これから先も投げることもあるから、頑張れよ」と声を掛けられたという。「ありがとうございます」と答え、予想外の“サポート”も力に変えた。

「優しくて、あこがれです」と奥川を目標にする荻原。堂々の投球で、先輩を準決勝のマウンドへ連れて行った。