<全国高校野球選手権:履正社7-1明石商>◇20日◇準決勝

1球が、1つのプレーが勝負を分ける。令和となって最初の夏。熱い戦いのワンシーンを「ヨネちゃんの『プレー』バック」と題して切り取った。

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1度は走者を三塁で止めた。それが次の瞬間、一転して本塁に走らせた。履正社の三塁コーチ、高寺真生(3年)の指示だった。5回1死二塁。野口海音(3年)が右前打したときだ。高寺が「ファンブルしたのが確認できたんで、回しました」と振り返った。

明石商の右翼手、安藤碧(3年)に失策はついていない。野口に打点1がついた。記録にならないミスを見逃さず、中押し点となる1点を導いた。

内野に水が浮く、雨上がりのグラウンドだった。試合開始を1時間遅らせて整備したが、外野の芝はぬれたまま。安藤は「ぬれていたんで、バウンドが思っている以上に速く、思っている以上に弾んだ」。そして「捕る方が先なのに、投げる方に意識がいってしまった」と付け加えた。

控え三塁手である高寺の三塁コーチ役は今春から。「迷って、中途半端になるのがいけない」。岡田龍生監督(58)の教えもあって素早い判断で指示を切りかえた。「自分の意思を伝えることができました」。こんなわき役にも支えられ、履正社が決勝に進出した。【米谷輝昭】