「通い」でも勝てます-。全国屈指の名門である履正社は寮を持たない。全部員が寮生活を送るライバル大阪桐蔭と対照的だ。

大阪桐蔭が全国制覇を重ねていた5年ほど前、強化のために学校側から寮の創設を打診された。メリット、デメリットをまとめるところまでいったが現状維持。岡田監督らは「このやり方で強くしよう」と貫くことを決めた。

大阪、兵庫の生徒が多い。通学に1時間かかる野口主将は電車で参考書に目を通したりと有効活用する。部と家庭で連携して取り組む栄養管理は厳しいが、学校を離れた場所での行動は、基本的に自由だ。集団で行動する寮生活との違いは大きい。また、府内など交通便利な会場の場合は現地集合、現地解散の方針をとっている。自立を促すためだが、これも強豪ではめずらしい。野口は「自立してできています」と成長を実感している。

実家が兵庫県丹波市のエース清水や兵庫県姫路市の小深田は下宿。自由な時間は多いが、自覚を欠いた行動をすると全員に迷惑がかかる。「やっぱり寮にしないと」となりかねない。自覚が求められる分、寮生活とは違う厳しさがある。

寮を希望する選手、そうでない選手とで分かれる。寮生活のメリットももちろん多い。大阪2強が違う形をとっていることも、両校に好素材が集まる理由かもしれない。【柏原誠】