第92回全国選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)に出場する仙台育英・硬式野球部(宮城)が、学校所在地の多賀城市から「青少年善行者表彰」を授与された。

29日、同市役所で行われた表彰式に田中祥都主将(2年)が出席。昨年10月に東日本を襲った台風19号通過後の清掃活動や、継続してきた降雪時の雪かきなどのボランティア活動を感謝されての受賞となった。同主将は東北初となる甲子園で日本一に輝くことで、地域の方を喜ばせる決意も明かした。

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仙台育英の田中主将が、胸を張って堂々と表彰状を受け取った。「表彰もしていただいたからこそ結果も出したい。日本一になって、応援してくれる地域の皆様とも感動を分かち合いたい」。地域、学校関係者、卒業生、家族、仲間、支えてくれるすべての方への感謝の気持ちは、野球で恩返しするつもりだ。

昨年10月中旬の秋季東北大会(岩手)期間中、一時的に宮城県に戻った際に台風19号の甚大な被害を受けた。台風通過後、練習開始時刻の午前8時にグラウンドに集合。冠水した道中の現状を目の当たりにし、自発的に体が動いた。「練習前に俺たちで片付けよう」。須江航監督(36)に意向を伝え、大会中にもかかわらず練習を中止して午後1時近くまで続けた。

学校や寮、最寄りのJR中野栄駅周辺など、約80人の部員らが広範囲を手分けした。路上に散乱した稲わらやゴミを袋に回収。「地域の皆様の力になりたかった。今までの先輩たちからの伝統ある行動でもあります」。これまでも、歩道の雪かきや自然災害被災地の復旧活動なども継続してきた。

昨夏の甲子園は8強。主力メンバーが多く残った昨秋にも東北王者となった。今月に入り、早くも紅白戦など実戦形式練習も開始。明治神宮大会で背番号1を付けた最速141キロ左腕・向坂優太郎(2年)に加え、夏も活躍した最速147キロ左腕・笹倉世凪(1年)や、神宮大会でベンチ外だった最速145キロ右腕・伊藤樹(1年)も決め球を磨きながら復調してきた。

田中を含めた打撃陣も入江大樹内野手(2年)や宮本拓実外野手(2年)ら中軸を中心に破壊力抜群だ。田中は「センバツが決まって、みんなの目の色も変わっている。全員で底上げしてチーム力を上げたい」。野球だけでなく、社会奉仕活動も含めて、心身ともに強さは増している。20年こそ、東北に優勝旗を持ち帰る。【鎌田直秀】