学校創立100周年を迎えた加茂暁星は長打力のある荒木友斗内野手(3年)と、勝負強さが光る主将の佐藤健内野手(3年)の“ダブル主砲”が打線を引っ張る。昨秋の県大会は3位となり、創部初の北信越大会出場を果たした。冬場は各自が2週間で2万スイングを達成。新型コロナウイルスの影響で甲子園初出場の夢は立たれたが、記念の年に初の県制覇を狙う。

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荒木はスイングの感覚を確かめながらバットを振り続けた。「まだ目が速球に対応できていない。初戦(23日)までにいい形を取り戻したい」。コロナ禍による休校期間中は3キロ走を週3回、縄跳び1000回と素振り300回を日課とした。甲子園中止でモチベーションが落ちかけたがチームが導入した教育支援アプリ「クラッシー」で各自が自主トレを公開。情報を共有、刺激し合えたことで仲間を近くに感じ、改めて野球の楽しさを実感した。

高校通算25本塁打を超える長距離砲は1年春、4番三塁手で公式戦デビュー。2年では確実性、対応力に磨きをかけ攻撃的な2番を任された。力強いスイングを支えるのが鍛えた筋肉だ。入学当初、ベンチプレスは50キロが最高だったが現在は103キロを上げる。「確実にパワーはついたし体が強くなった。130メートルは飛ばせる」。積み重ねた成果を最後の夏で発揮する。

荒木とともに攻撃の核となる佐藤健は休校期間中、寮から長岡市の実家に戻り、筋トレで上半身をいじめ抜いた。6月1日からの活動再開以降、羽生田球場での練習では強い当たりを右翼席へ運んだ。「自分でも驚くぐらい飛距離が伸びている。大学でも野球を続けたいので落ち込んでいる暇はなかった。公式戦初ホームランを狙っていく」。

昨秋の北信越初戦では敦賀気比(福井)に1安打に抑えられ5回コールド負け(0●10)。全員が打撃力アップを誓い、チームは佐藤健を中心に「2週間で2万回スイング」を決行。「手が痛くてシャンプーもできなかった」と笑いながら当時を振り返るが「あの負けから成長できたし、あれだけバットを振ったという自信が全員にある。少しのことでは動じない」と言い切る。

高橋諒監督(26)は「2人が勝利のキーマン。大事なところで結果が残せる」と信頼を寄せる。「(決勝の)8月6日まで全員で野球をしたい。絶対勝ち残る」と2人は同じ言葉で初の県制覇へ力を込めた。【小林忠】

◆佐藤健(さとう・たける)2002年(平14)9月16日生まれ、長岡市出身。十日町野球クラブ-長岡シニア。高校では1年秋からベンチ入り。2年秋から主将・4番を務める。179センチ、87キロ。右投げ左打ち。

◆荒木友斗(あらき・ゆうと)2003年(平15)1月18日生まれ、阿賀野市出身。分田イーグルス-NGMシニア。高校では1年春から4番で活躍。174センチ、87キロ。右投げ右打ち。