新潟県高校夏季野球大会が18日に開幕する。北越は、昨秋優勝校のプライドを胸に、全力で県NO・1の座を狙いに行く。主将でエースの阿部柚士郎投手(3年)が、多彩な球種を駆使しチームを勝利へ導く。初戦は、23日に新潟南と開志学園の勝者と対戦する。

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阿部は「フォーク」「シンカー」「ツーシーム」と球種を告げ、捕手の高橋良輔(3年)が構えたミットに右横手からボールを投げ込む。多彩な変化球が武器。カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップも切れ味抜群だ。「負けない投手を目指す」。北越のエースは、大会無敗の投球を狙っている。

試合が緊迫すればするほど、阿部の集中力は研ぎ澄まされる。「点を取られてはいけないと思うと、勝手にいい球がいく」と言う。昨秋は準々決勝・長岡工戦(2○0)、準決勝・加茂暁星戦(1○0)を連続で完封。18イニングを無失点に抑え、接戦で強さを発揮した。「味方が点を取れなかったら、0で抑えなければならない」とエースの自覚十分だった。

冬場は右膝後十字靱帯(じんたい)損傷の影響で、満足なトレーニングができなかった。昨年10月の北信越大会準決勝・日本航空石川戦(1●9)で一塁にヘッドスライディングし負傷。故障は長引き、完治は2月だった。「走れずに体幹トレーニング中心だった冬の時期は、周りに助けてもらった。だから、最後は自分がみんなの力になりたい」。夏に合わせて調整してきた阿部は、感謝の思いを込めてマウンドに立つ。

新型コロナウイルスの影響で、学校が再開されたのは6月1日。夏の甲子園予選中止は決まっていたが、代替大会開催を信じ、その日からミーティングを2日間行い、優勝を目指すことをあらためて確認した。ベスト8で終わった昨夏、阿部は2、3回戦で先発。準々決勝・糸魚川戦(1●2)も、最終回の1イニングを投げたが、「負けたら最後の緊張感。楽しいと思った」。3年生にとっては、今年最初で最後の公式戦。阿部は、昨夏と同じ緊張感を味わいながら、その集中力を高め、チームを勝利に導く。【涌井幹雄】

◆阿部柚士郎(あべ・ゆうしろう)2002年(平14)4月18日、新潟市生まれ。上山中。野球は、鳥屋野小1年から鳥屋野ペガサスで開始。投手は小学4年から。小中高を通じてエース。高校1年秋に背番号11で初のベンチ入り。好きな投手はヤクルト市川悠太。右投げ、左打ち。170センチ、60キロ。血液型O。