室蘭、函館、小樽、十勝で26日、代表決定戦が行われ、南北北海道大会各16代表が出そろった。室蘭地区では、最速146キロのプロ注目左腕、苫小牧中央エース根本悠楓(3年)が、苫小牧工に被安打2、14奪三振、2試合連続の完封で、自身初の道大会進出を決めた。南大会は8月3日に札幌円山、北大会は同5日に旭川スタルヒンで開幕する。

   ◇   ◇   ◇

淡々と三振の山を築いていった。根本は初回を3者連続三振スタート。2回の四球と3、5回の単打、走者を許したのは3人のみ。打者29人で27アウトを取った。9回も3者連続三振で締め、声は出さず、少しだけほおを緩め、笹原匠捕手(3年)とグラブタッチした。白老白翔中3年時に全国中学軟式決勝で完全試合を達成し、苫小牧中央に進学。3年目でついに道大会の扉をこじ開けた。「最後にやっとみんなで道大会に行ける。すごくうれしい」と喜んだ。

10球団のスカウトが集まった24日の北海道栄戦に続き、この日もロッテなどプロ3球団5人のスカウトが視察。中1日での登板に「少し肩周りに筋肉痛があったので、直球で押すよりも変化球とのコンビネーションを生かして投げた」。最速は前回の145キロより遅い140キロ程度に抑え、変化球を巧みに織りまぜながら、打者を打ち取った。

今大会初戦から3試合で計19イニング連続無失点、24奪三振。直球主体で8奪三振完封勝利した北海道栄戦に続き、この日は変化球主体で2試合連続三塁を踏ませなかった。ロッテの永野吉成プロ・アマスカウト部長(52)は「剛球タイプではないが、テーマを定め工夫して投げている。賢い」。日本ハム伊藤剛GM付特命スカウト(43)は「球速以外の切れや制球も見られた。楽しみ」と、いずれも高い評価を口にした。

目標のプロを目指す前に行ってみたかった、全道レベルの大会に手が届いた。相手の苫小牧工の主将は白老白翔中時代、ともに日本一に駆け上がった波多悠汰(3年)だった。「中学で一緒にやってきた仲間の分まで、という気持ちは強い。南北海道の1番を目指す」。地区で敗れ続けた自身の悔しさ、友の思いの両方を背負い、円山で躍動する。【永野高輔】

▽根本と同じ白老白翔中出身で苫小牧工主将の波多悠汰捕手(3年) 最後に根本と一緒にグラウンドに立てて良かった。対策はしてきたけどボールの回転、質が違った。全道で優勝してきてほしい。

▽苫小牧工の平山良行監督(46) 左の速い投手を想定して対策はしてきたがボールの出る角度、投球術、マウンドさばき、いずれも質が高い。完敗でした。いい相手とやれたことを1、2年生が次に生かしてくれたら。