公式戦1号を豪快に決めた。全国高校野球選手権の代替となる都道府県の独自大会が27日、各地で行われ、西東京では早実が八王子学園八王子に逆転勝ち。初戦を突破した。4番には清宮福太郎外野手(2年)が座り、4回に公式戦初アーチとなる高校通算8号ソロをダイワハウススタジアム八王子の左翼場外に放り込んだ。早実の先輩で高校通算111本塁打の兄幸太郎内野手(21=日本ハム)に負けない大砲の片りんを見せた。

     ◇     ◇     ◇

フェンス越えの確信はあった。清宮は「いったかなと。後はフェアに入るか」と振り返った。1-3の4回先頭、カウント1-1で八王子学園八王子の左腕、溝口雄大投手(3年)のカーブを引っ張った。高い放物線で左翼ポールをまくように打球が消えるのを見届け、ゆったりダイヤモンドを1周した。

公式戦1号は推定飛距離120メートル。「多分、初めて」という場外弾にはパワーと技術が詰まっていた。初めて視察した日本ハム坂本スカウトは「お見事。パンチ力がある」と称賛し、続けて技をたたえた。高め内寄りに入ってくるカーブを打ち、切れなかった。「普通の打者は、もっと体が開く。清宮君は開きながらも残そうとして、バットをしならせた。ヘッドを使う能力は先天的なもの」。その上で「人間的な成長が加われば兄(幸太郎)クラスの選手になる」と期待した。

天運もあった。長梅雨で初戦が4回も順延。当初の18日から1週間以上遅れたが、清宮は「1日目はすごく緊張してて。でも4回流れて、うまく抜けてくれたかなと思います」と前向きに捉えた。順延の分、2回戦の八王子実践戦は連戦だが「今日と一緒。1球、1打席に集中したい」と動じない。

早実は複数部員の問題行動があったとして、昨秋都大会を出場辞退。春は中止のため、現チームにとって初の公式戦だった。8回に1点を勝ち越されたが、直後の9回に北村広輝内野手(3年)の2ランなど3得点で逆転勝ち。計5本塁打の強力打線の中心に清宮がいた。和泉実監督(58)は「意外と勝負強く打ってくれる」と4番を託す理由を話した。清宮は「4番を打っている以上、早実の看板に泥を塗らないようにしたい」。覚悟を持って、次も戦う。【古川真弥】

◆清宮福太郎(きよみや・ふくたろう)2003年(平15)7月3日生まれ。東京都出身。早実初等部1年時に野球を始め、5年からは東京北砂リトルでプレー。世界大会で優勝。中等部時代は調布シニアで活躍。早実では昨夏、背番号19で公式戦デビュー。182センチ、99キロ。右投げ右打ち。

▽巨人青木スカウト 自分のポイントがある。風格もお兄さんに似てますね。

▽中日小山スカウト 打つツボを持っている感じ。まだまだ粗削りだが、天性のものがある。

▽ヤクルト山本スカウト 飛ばせる力は魅力。ファウルになりそうで切れない。バットが内から出ているイメージですね。

▽楽天部坂スカウト 高めを、うまく肘をたたんで打った。柔らかさがある。普通は(グリップエンドが)上がって、ファウルに切れる。