明大中野八王子の思い切った手は不発に終わった。初回、早実の先発、菊池は制球が定まらなかった。2安打1四球で2死満塁。さらに、6番打者に対しても2ボールとなった。

ここで、三塁走者の福本真士中堅手(2年)が仕掛けた。大きくリードを取り、投球モーションと同時に本塁へ突っ込んだ。3球目はインコース高めに抜ける真っすぐだったが、早実の捕手、山元にタッチされた。本盗は失敗。結果的に、相手投手を助けてしまった。7回5安打無得点でコールド負けした。

それでも、椙原貴文監督(37)は責めなかった。「このチームは、あまりサインを出しません。自分たちで行けるところは行こうと。先を狙ってアウトは、いくらでもOKにしています。積極的に何をやるか。1つの発想で、責められません。意図は伝わったので。結果論になりますが、惜しかったと思います」。

最速142キロ右腕の江口陽太投手(3年)は、3回まで強力打線相手に無安打。だが、4回以降につかまり、涙をのんだ。「ストレートを簡単に、はじき返されてしまいました。スピードがまだまだです」と、大学でのさらなる成長を誓った。