北北海道大会は7日、1回戦2試合と準々決勝1試合が行われ、旭川実が釧路湖陵を10-0の5回コールドで下し、4強一番乗りを果たした。大井辰典左翼手(3年)が初回2死一、三塁から、2戦連発の左越え3ランを放ち、打線を勢いづけた。2安打4打点で地区から計4試合10打数7安打8打点の打率7割。投手もできる絶好調“二刀流”が、北大会の頂点へとけん引する。休養日だった南北海道は今日8日、準決勝が行われる。

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184センチ、82キロの恵まれた体を生かし、一気にスタンドへ運んだ。1点先制後の初回2死一、三塁、大井は1ボールからの高めの甘い直球を逃さなかった。「とにかくフルスイングを意識した」。打球は鮮やかな弧を描き、左翼芝生席に吸い込まれた。5日の初戦では、7回に代打で登場し左越えソロを放っており、2戦連発。公式戦4本目、通算11号に「調子はいい。次も打てるように」と3戦連発を見据えた。

本来は投手も、昨秋の地区大会前に右肩を故障し、秋から冬場にかけ野手に専念しバットを振り続けた。「投手が出来ない分、打撃力を上げないと試合に出られないと思った」。コロナ自粛の間は、グループLINEで他の野手のアドバイスにも耳を傾けた。児玉には「バットをうまくボールの軌道に入れるように」と聞き、動画を送ってもらいバットの出し方を微調整。「効果はかなり。これまで以上にボールが飛ぶようになった」と、今夏は三塁打2本、本塁打2発を含む10打数7安打の打率7割と、絶好調が続いている。

肩の調子も戻り、本職の投手でも、1回戦滝川戦の5回から2番手で登板し2回2安打無失点と上々の投球でコールド勝ちに貢献。最速145キロのエース笠間、最速147キロのプロ注目の2年生田中だけでなく、大井も地区から2試合計3イニング無失点と安定感を見せている。「投打でチームに貢献するのが自分の理想。これから厳しい試合が続くし、そういうときに、打って投げて貢献したい」と“二刀流”での奮闘を誓った。

好きな選手は当然、エンゼルス大谷。留萌中3年時、札幌ドームでの投球と打撃を見て「格好いいと思った」。長打力兼備の投手としてフル回転し、勝ち続けたまま、最後の夏を締めくくる。【永野高輔】

▽旭川実の坂口新監督(36) 大井は身体能力が高く、笠間や田中が注目されているが、投手としても打者としてもいいものを持っている。決めたことはとことんこだわってやるタイプ。