来春センバツの出場校を決める重要な参考資料となる秋季近畿大会の3試合が24日、わかさスタジアム京都で行われた。天理(奈良)は2度の全国制覇を導き、9日に75歳で亡くなった橋本武徳総監督にささげる初戦突破を決めた。

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名将の心は生きていた。亡き橋本氏が「ぼちぼちいこか」とナインを鼓舞し、夏の全国制覇を2度成したように、天理の中村良二監督(52)もナインをその気にさせた。同点にされた直後の8回表。ベンチ前の円陣で帽子を脱ぎ、ひさしの裏の字を見せた。「笑」。奈良大会決勝後、橋本氏が他界する直前に書いてもらった字だった。

「僕は“肩の力抜いて、楽にいけ”というつもりやったんですが、選手は勘違いして“終わったら、笑って帰れるんや”と思ったみたいです」。9回表2死二塁、6番堀内が決勝の左中間三塁打を放ったのだから、名采配だ。

最速145キロ右腕・達孝太(2年)が13奪三振の1失点完投で試合を作り、粘り勝った。「今日は、ほんまにみんなで勝った感じが強いです」と中村監督。25日の準々決勝は、大阪桐蔭との大一番。「笑」の言霊も力にして、2年連続センバツ切符をたぐり寄せる。

▽乙訓・北見隆侑投手(2年、9回8奪三振で2失点)「最終回に踏ん張れなかった。(天理の)達くんは最終回、2死からでも踏ん張っていて、レベルの差を感じた。相手はプロ注目と言われる投手。こういう試合で投げ勝ちたかった」