<高校野球千葉大会:成田12ー2千葉西◇14日◇3回戦◇ZOZOマリンスタジアム

成田が12安打5盗塁と機動力を発揮し、4回戦進出を決めた。クリーンアップを打つ桧村圭吾内野手(2年)にも、今夏初ヒットが生まれ勝利に貢献した。

10-2で迎えた6回裏。無死二塁からスライダーを捉え、11得点目となる右前適時打を放った。

11日の初戦、成田西陵戦は17-0と快勝したが、先発メンバーの中でただ1人、安打を打っていなかった。夏の大会直前フォームを改造。「ポイントを近くしたら窮屈なフォームになっていた」。試合中に修正し、最後の打席で安打につなげた。

兄の活躍に奮起した。兄の篤史は木更津総合で甲子園に出場。早大を経て、現在は社会人のホンダでプレーし、今秋のドラフト候補にも挙がる。開催中の日本選手権にも出場し、10日の2回戦では2点二塁適時打を放つなど、チームを勝利に導いた。そんな兄に刺激され弟は「自分も頑張らないと…」と悔しい気持ちを切り替え、無心でバットを振った。「逆方向にしっかり打ててよかったです」。ようやく笑顔を見せた。

兄はいつも憧れの存在だった。桧村は小1で兄の影響で野球を始め、13、15年には、甲子園のアルプススタンドで木更津総合を応援した。「甲子園でプレーする兄はすごかった。それに比べ、自分は兄ほど才能がない。目指すべき存在ではありますが、自分なりの道を歩もうと成田への進学を決めました」。現在、クラスでは常にトップの成績。野球でも2年生ながらレギュラーをつかんだ。兄とは違う道を歩みながら、甲子園を目指している。

桧村には大事にしているグラブがある。高校入学時にもらった、兄が使ったグラブだ。「ブレない男」と刺しゅうされている。兄の活躍を励みに甲子園へ。自分の足で、力強く歩んでいる。【保坂淑子】