高田商の“規格外1年生”が、4強進出への原動力になった。ベンチ登録20人で背番号20の東口虎雅(たいが、1年)が1番センターで出場、2度の同点打を含む3安打と大暴れだ。

1点を追う5回表2死一、二塁、詰まりながら中前に落とした。再び1点を追う7回表無死満塁、思い切りのいいスイングで三遊間を抜いた。ともにファーストストライクを狙い撃ち。東口は「僕、最初から振らんかったら三振してしまうそうなんで」と苦笑いで、歓喜のシーンを振り返った。

登録20人でたった1人の1年生だが、いい意味で初々しくはない。赤坂誠治監督が「おとなしい生徒が多いんですが、あの子は別。全く動じない。緊張して力を出せないことはあり得ない。だから、チームに細かいサインはあっても、あの子はなしです」と笑う。

入部後まもなくのこと。東口は津田侑輝主将(3年)を「ツダッチ」と呼び、周囲をビックリさせた。東口は「いや、違うんです。ウチのノンちゃん(母典子さん)が主将を“ツダッチ”と呼んでて、つい…」と言うが、津田主将は信じない。「いや、最初から(ツダッチ)です。でも、あいつからそういうチョケた(ふざけた)とこを取ったら、ダメ。あいつのおかげで部が明るくなったんで」。

名前は「虎雅」と書いて「たいが」。阪神ファンの父裕貴さん(45)につけてもらった。監督、主将から“お墨付き”をもらう1年生。63年大会以来2度目の夏の甲子園へ。東口はいろんな意味でチームに欠かせぬ存在だ。