智弁和歌山が、今秋ドラフト上位候補の市和歌山・小園健太投手(3年)を攻略して優勝した。中谷仁監督(42)が「後半勝負のつもりでした」と明かしたように、完璧な試合運びだった。5回までは両チーム無得点。6回2死満塁で、高嶋奨哉内野手(3年)が浮いたスライダーを捉え、左前に先制適時打を放った。甲子園最多68勝を誇る高嶋仁名誉監督(75)の孫が殊勲の一打で口火を切ると、勢いづいた。

同点に追いつかれた直後の7回は1死二塁で大仲勝海内野手(3年)が右前にタイムリーを打ち、岡西佑弥内野手(2年)の右越え適時二塁打でこの回2点を奪って再び勝ち越した。8回に1点を追加して、完全に主導権を握った。

最速147キロ右腕の先発伊藤大稀投手(3年)が7回途中1失点と好投したのも、大きな勝因だった。プロ注目のエース中西聖輝投手(3年)につなぐ継投も決まり、大会を通じて好調だった市和歌山打線を1点に封じた。指揮官は「100点満点。(後半勝負の意図は)暑いですからね。小園君が元気なうちは、なかなか打たせてもらえない。後半は球威や制球で必ずチャンスがやってくると」と話した。今春センバツ出場を逃したが、19年以来、2年ぶりの夏の甲子園切符を手にした。難敵の小園を相手に、名門校の意地が光った。

▽智弁和歌山・伊藤大稀投手「(救援で)中西、高橋がいてくれて、1球入魂で、1人1殺の気持ちで投げました。思い切り腕を振りました」

◆智弁和歌山 1978年(昭53)創立の私立校。普通科。生徒数790人(女子320人)。野球部は79年創部で部員数39人。甲子園出場は夏25度目で、春は14度。優勝は春1回、夏2回。主なOBに日本ハム西川遥輝、中日岡田俊哉ら。所在地は和歌山市冬野2066の1。藤田清司校長。

▽日本ハム西川(智弁和歌山OB)「本当におめでとう。甲子園は勝たないといけない場所で、地方大会は負けられない場所。ちょっと違うプレッシャーがある。暑さ対策をしっかりやって、体力を温存しながら最後まで戦って欲しい」

▽日本ハム細川(智弁和歌山OB)「昨年まで共にプレーしていた後輩たちの優勝を、とてもうれしく思います。甲子園大会までの期間を大切に、最高の準備をして、自分たちの野球をしてください」