勝利の瞬間、北海のエース木村大成(3年)は右翼の守備位置から、涙を拭いながら歓喜の輪に飛び込んだ。「自分が逆転されて、申し訳ないという気持ちが強かった。吉野やほかの野手が頑張ってくれて勝てたので、ほっとしたのと、ありがとうという思いだった」。仲間に支えられての春夏連続甲子園に、感謝の思いでいっぱいだった。

3点リードの6回、4連打を浴びるなど一挙4失点で逆転を許した。147球で完投した前日の準決勝と同様に、マウンドで飲水し、足を伸ばす場面もあった。ベンチに戻り平川監督に「もうダメだから代わろう」と促され降板。「外野で出るか?」の言葉に「行きます」と、7回から右翼守備につき、2番手吉野に託した。

前夜、昨秋全道決勝で投げ合った旭川実の田中からLINEで「明日頑張って」とエールを受けた。6回6失点だったが、地区予選から全6試合に登板し計580球、腕を振った。センバツの開幕戦で神戸国際大付にサヨナラ負けしてから4カ月。「負けたチームの思いも背負って甲子園で勝たないといけない。全力で戦っていきたい」。再び乗り込む夢舞台へ、思いをはせた。【山崎純一】