横浜が、横浜創学館を投打で圧倒し、3年ぶり19度目の夏の甲子園出場を決めた。「3番」金井慎之介外野手(3年)が2安打2打点の活躍で打線をけん引。積極的な声かけで、先発した1年生左腕・杉山遥希投手を支えた。永遠のライバルで今春センバツ王者の東海大相模がコロナ禍で辞退を余儀なくされた波乱の大会を制覇。聖地でも頂点を目指す。

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歓喜の輪の中心には、金井がいた。9回2死。2番手として最後の打者を右飛に打ち取った。わずか1球だったが、1年生左腕杉山からのバトンを優勝へつないだ。「大変なことがありましたが、監督が一緒に乗り越えてくれた。最後は自分に任せてくれたのかな」。優勝の味をかみしめた。

どん底を味わったからこそ今がある。背番号「1」を背負った昨秋と今春の県大会準決勝。先発したが、左肘痛の影響もあり、ともに制球を乱して序盤で降板。コールド負けを喫した。重圧に押しつぶされそうになったが、村田浩明監督(35)からの「上がっていくしかない」という言葉に支えられた。「自分は野球を好きでやっている。野球自体を心から楽しめるように」と初心に帰った。

今夏のエース番号は同級生の山田に、大一番の先発の座は後輩に託した。「野球はチームでやるスポーツ」と投手へのこだわりは封印。今大会は「3番左翼」としてバットでチームを引っ張ると決めた。

決意は、この日も全力プレーに表れた。初回。2死から死球で出塁すると、4番立花の右前打の処理を相手がもたつく間に先制のホームを陥れた。2回には右前適時打を決め、4回はチーム5点目となる左越えの適時二塁打を放った。今大会は全試合で「3番」スタメンを担い、毎試合安打をマーク。11安打の打率4割7厘、12打点で激戦区神奈川の頂点に導いた。

甲子園に向け、「応援してくださる方々にしっかり恩返しできたらと思います」とうなずいた最速148キロ左腕。聖地ではバットにピッチングを加え、チームを引っ張っていく覚悟だ。【勝部晃多】