西東京大会の準決勝が、高校野球の公式戦としては史上初めて東京ドームで行われた。国学院久我山は内山凜外野手(3年)が勝ち越し三塁打を放ち、日大三に勝利。飛球が見えづらいドームでの外野守備をこなし、優勝した19年以来の決勝に進んだ。8月2日の決勝は、世田谷学園を下した東海大菅生と対戦する。

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内山は、フラフラと右翼前方に上がった打球を走り込んでつかみ、ホッとした表情を見せた。「最後、セカンドとライトの間に上がって見えなくなりました。声を出して追ったんですけど。走ったところにボールが来ていて捕れました」と打ち明けた。9回2死一塁で、日大三・林のフライをつかみ試合終了。1点差だった。もし、そのまま打球を見失ってポテンヒットなら、同点だったかもしれない。

東京五輪で神宮球場が使えず、史上初となる東京ドームでの戦い。尾崎直輝監督(31)は、OBの日本ハム矢野謙次2軍打撃コーチらからフライが見えづらいという証言を得ていた。内山をはじめ、中学時代に同球場でプレーした選手も何人かおり、「守備では声をかけ合おう」と確認。試合前のノックでは、内野も含め入念にフライを捕った。最後の最後でヒヤリとしたが、準備を怠らない姿勢が勝利確定の捕球につながった。

打撃は文句なしだった。2-2の4回2死二塁で、右中間へ勝ち越しの適時三塁打。内山は「真っすぐを強く振り抜けました」と胸を張った。決勝進出は、優勝した19年以来。2年前の甲子園では、当時1年生で唯一メンバー入りし、背番号18で打席にも立った。「今の3年生で甲子園を経験したのは自分だけ。都大会とは違う緊張を感じました」。優勝したら、その経験を伝える使命があると自覚している。そのためにも、あと1つ。今春センバツ8強の東海大菅生に勝つ。【古川真弥】

▽国学院久我山・高橋風太投手(6安打3失点完投勝利。初めての東京ドームのマウンドに)「下が硬くて、自分の投げ方に合っていたと思います。意外と、すんなり入れました」ました」