帝京の夏が終わった。

最終回に2点差に迫り、なおも2死一、二塁。次打者の尾瀬雄大外野手(3年)が快音を響かせたが、中堅手に好捕され、敗退が決まった。ネクスト・バッタースボックスの武藤闘夢主将(3年)がくやしがった。「ここまで来たら甲子園に行きたかった」。

甲子園常連校といわれながら、これでもう10年出場がない。11年夏が最後だ。前田三夫監督(72)は「この弱いチームをどこまで引っ張れるか、僕には挑戦だった。攻めた姿は感動しました」と振り返った。新チームで臨んだ秋は2回戦で小山台に0-10と大敗した。今春は1回戦で日本学園に敗れた。そんなノーシード校が、4強まで勝ち進んだ。

この日は1点を先行しながら、先発高橋蒼人投手(1年)が4回につかまり、4失点。直後の5回、1死満塁としながら無得点に終わった。「(5回)満塁からの三振がねえ。1年生には荷が重かった」。先発メンバーに高橋蒼ら1年生が3人入っていた。再出発する秋へ、この経験は大きい。

「ベスト4、決勝と圏内にとどまっていけば、チャンスはある。3年生はよくやってくれた。もう少しだった」。勝てなかった帝京をよみがえらせた3年生をたたえて、前田監督が東京ドームを引き揚げた。