智弁和歌山が智弁学園(奈良)との「智弁対決」を制し、00年以来21年ぶり3度目の優勝を果たした。優勝監督インタビューに臨んだ中谷仁監督(42)は笑みを交えながら「本当に選手たちが苦しい甲子園を目指せない去年をへて、心身に努力した結果。本当にうれしいです。(4回の中西の投入は)今日の朝、中西に聞いたら『先発でもいけます』とのことだった。エースに任せました。ここで決勝戦を行えること自体が夢のような幸せな時間でした」と話した。

序盤から優位に立った。1回に徳丸天晴外野手(3年)の中犠飛で先制し、高嶋奨哉内野手(3年)の左前への2点適時打などで4点を奪った。エースの中西聖輝投手(3年)も2点リードの4回無死一、二塁で救援登板し、ピンチを抑えた。6回以降、着実に加点して全国の頂点に立った。

今大会は2回戦の宮崎商戦を不戦勝。3回戦の高松商(香川)戦は5-3。中西が8回2/3、3失点。9回につかまったが、打線が11安打で序盤から援護した。

準々決勝の石見智翠館(島根)戦は9-1。中西は登板せず、塩路柊季(2年)高橋令(3年)武元一輝(2年)の3投手が1失点リレー。打線は15安打を重ねた。

準決勝の近江(滋賀)戦は5-1。中西が1失点完投。打線は11安打で序盤から援護した。

4番の徳丸天晴外野手(3年)、5番の岡西佑弥内野手(2年)は準決勝までで打率2割を切ったが打点は重ね、6番以下の打者も活発。4試合連続2桁安打の打線が優勝の原動力になった。

◆元プロ監督が優勝 智弁和歌山・中谷監督は阪神、楽天、巨人で主に捕手としてプレーした。元プロ選手が監督として甲子園で優勝したのは、86年春の池田・蔦文也監督(元東急)以来。夏の大会も82年の蔦監督以来になる。中谷監督は97年夏に智弁和歌山で甲子園優勝、ドラフト1位で阪神に入団したが、ドラフト経験者の監督が優勝したのは初。また、選手と監督の両方で優勝を経験したのは08年春の比嘉公也監督(沖縄尚学)以来。