初の決勝進出で準優勝した智弁学園の躍進の陰には心のよりどころとなっているスイーツがある。

寮近くにある「菓子工房 とらや」のいちご大福だ。地元のファーム岩井のいちごを生クリームや生抹茶クリームなどと一緒に包んだ名物。約10年前、元オリックスの青山大紀らの世代から通い始め、巨人の岡本和、広岡もこの大福でつかの間の休息を楽しんだ。前川や垪和(はが)、三垣ら現在のメンバーも常連で、シーズンオフは週1回のペースで訪れることもある。

甲子園出場が決まると、とらやから野球部に差し入れをするのが恒例。今年も奈良大会後に2代目店主の小松弘幸さん(52)と妻和代さん(51)が白球をあしらったホールケーキなどを作り、山下主将と前川、小畠、三垣が受け取った。「頑張ってね!」「頑張ります!」。スイーツを通じた小さな交流はナインの活力になっている。

2人はコロナ禍のため19年の秋季近畿大会を最後に球場での応援はできていない。ただ、来店時や中継のテレビ画面を通して和代さんは「みんなが日本一取るぞと伝わってきた」と振り返る。「一生見られない」と喜んだ決勝の智弁対決。初優勝はならなかったが、自宅からの声援は智弁学園ナインに届いたはずだ。【林亮佑】