花巻東(岩手1位)が悲願の初優勝へ王手をかけた。八戸工大一(青森2位)を4-3の延長10回サヨナラで撃破。エース左腕の万谷大輝投手(2年)が3失点完投し、人生初のサヨナラ打も放った。

聖光学院(福島1位)は青森山田(青森1位)を5-2で退けた。勝利した両校は4年ぶりに決勝進出し、来春のセンバツ出場も当確となった。26日に秋の東北王者をかけて激突する。

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万谷劇場だ! 人生初のサヨナラ打で激戦に終止符を打った。3-3の10回1死二塁、1ボールから内角直球を強振。「後ろにいいバッターがそろっているので、どんな形でもフルスイングして打ってやろうと思いました」。右翼線へ適時二塁打を決めた。「結構つらかった場面が多かったので、打ててうれしかったです」。二塁に到達すると何度もガッツポーズ。祝福に来た宮沢圭汰内野手(2年)らと次々と抱き合った。佐々木洋監督(46)も「素晴らしいヒットを打ってくれて、本当に万谷さまさまでした」とたたえた。

エースの仕事も全うした。9安打2四球を許しながら粘って3失点完投。自信のあるチェンジアップを要所で決め、相手打線にあと1本を出させなかった。「とにかくセンバツに行きたい気持ちは相手に負けないようにと投げていました」。117球に魂を込め、2失点完投した前日23日の準々決勝・仙台育英(宮城)戦に続いて1人でマウンドを守った。

花巻東は春夏通算13度の甲子園出場を誇る超名門だが、秋の東北大会は17年の準優勝が最高成績。4年前は26日の決勝で対戦する聖光学院に敗れている。佐々木監督は「選手たちに歴史をつくるのではなく、歴史を変えなさいと言い続けています」。センバツは東北の「一般選考枠」が2校。今大会の準優勝以上が決まり、代表校選出はほぼ確実な情勢となった。4年前のリベンジを経て、「秋の東北王者」という新たな称号をつかみ、さらなる高みを目指す。【山田愛斗】