過去最高成績の4強超えを狙う片倉(西東京)は、同校グラウンドで専大付と練習試合を行い、10-6で勝利した。11日の都武蔵との初戦(多摩一本杉球場=午前9時開始)へ向け、弾みをつけた。

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初回に3点を失ったが、片倉打線が奮起した。4回までに2-3とすると、5回に2本の長打が飛び出して逆転。7回に1点を勝ち越されたが、8回に佐藤奏斗外野手(3年)のソロ本塁打などで再び逆転し、突き放した。

4回に特大の一発を放つなど、猛打賞の活躍を見せた遠藤朗温(あきお)内野手(3年)は「今日は1打席目からいけると思った」と笑顔で振り返った。9安打で10点を奪った攻撃陣を「1回きっかけをつかめば、止まらない打線」と表現する。

きっかけをつかめば-。これまで、何度もそう思わされてきた。昨夏は3回戦で0-1の完封負け。今春の都大会初戦も、0-1で敗れた。投手陣の頑張りに応えたい。その思いが力みにつながり、ホームベースが遠のいた。得点を奪うきっかけは、どこかに転がっているようなものではなかった。

それならば、自らきっかけを作るしかない。そこで力を入れたのが、ベンチからの助言だ。控え捕手の千野航(3年)が中心となり、配球や相手投手の心理状況を、それまで以上に伝え合うようにした。麻野凛空主将(3年)も「捕手の立場から、投手の球種や制球力を観察したうえで、『俺なら次はこれを要求する』って言ってくれる」と信頼を寄せる。千野の一言がきっかけとなり、得点を奪う場面は格段と増えた。「よく当たるので、それが普通になってきている」と成長を口にする。

チームは182センチ右腕のジョンソン・マーカス太一投手(3年)をはじめ、3年生投手3人を擁する。最後の夏こそは、打線が投手陣を救いたい。そのためのきっかけは、チーム一丸となって作り出す。【藤塚大輔】