南北北海道大会の代表校10校が決まった。北北海道の十勝地区では白樺学園が帯広三条を12-3で下し、4年ぶりの北大会出場を決めた。途中出場した背番号16の田中佑季主将(3年)が、1点差に迫られた9回無死満塁で中犠飛を放ち、貴重な追加点をもたらすなど勝利に貢献。今年4月に就任した亀田直紀監督(35)は初の北大会切符を手にした。

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主将が意地を見せた。田中がいやな流れを払いのけた。1点差に迫られた9回表の攻撃。無死満塁と絶好機でこの日最初の打席が回った。内角直球をはじき返し、貴重な追加点をもたらす中犠飛。「最低限のことはできたのでよかった」。後続も続き、この回打者13人で8安打8得点と9点差をつけ、勝利をたぐり寄せた。

4番で先発した菊地一成三塁手(3年)に代わり、7回裏の守備から途中出場した。1死から三ゴロを軽快にさばくなど、得意の守りでも安定感を披露。守備位置からは大きな声で投手をもり立てた。

1年秋に背番号5で初めてベンチ入り。1ケタ番号をつけ先発出場する機会は多かった。だが今年4月上旬の宮崎遠征で走塁の際に左ひざ裏にケガを負った。翌日病院を受診。今はサポーターを着用し問題なくプレーしているが、靱帯(じんたい)損傷の1歩手前だった。

ケガをした直後には亀田監督に厳しく言われた。「ケガをする選手にいい選手はいないと、前(戸出)監督からも言われていたが、けっこう怒鳴られてしまって。主将が変わるか変わらないかくらいまでになり、チームに迷惑をかけた」。1カ月ほど痛みが続き練習はできなかった。それでもめげず、春の全道と今夏地区では16番を背負い「チームに少しは貢献できたかな」と役割を全うしている。

この日の活躍に指揮官は「監督が変わってキャプテンが一番苦労していると思う。こういう時に活躍できるために厳しく接してきたので、最後いいところで結果を残してくれた」と目を細めた。チームは4年ぶりの北大会出場となる(20年独自大会を除く)。「大会までの期間でまだまだ技術は上がると思うので磨いていけたら」と田中。目指す聖地へ、この1勝は通過点に過ぎない。【山崎純一】