大曲工が2試合連続の2ケタ安打で西目に快勝し、2年連続の16強入りを決めた。先発した背番号「9」、長淵星河外野手(3年)が9回を投げ6安打3失点で完投勝ち。2回に2失点と不安な立ち上がりも、回を追うごとに本調子を取り戻していった。昨秋は5年ぶりの東北大会出場を果たすも、2回途中で8失点を喫し、チームは初戦敗退。悔しさを胸に一冬を越え、スケールアップした成果を集大成の夏に示す。

最速139キロ右腕、長淵星が夏初登板で上々の滑り出しを決めた。9回2死。最後の打者を118キロ変化球で左飛に打ち取る。最後まで1人でマウンドを守り続け、6安打3失点完投。チームを2年連続16強入りへ導いた。「先発に不安はなかった。思い切って投げることができた」と汗をぬぐった。

序盤は毎回得点圏に走者を置く、苦しい立ち上がり。初回を無失点に抑えるも、この回だけで2四球。3点を先制した直後の2回は四球と長短3安打などで1点差に迫られる。続く3回もぴりっとしない。同点は許さなかったが、2死二塁とピンチを招く。持ち味の制球力が影を潜めた。「前半は力を入れすぎてしまい、苦しい場面が続いた」。

それでも、中盤にかけて尻上がりに良化していく。8回にソロを浴びるも、4回以降は2安打投球。キレのある直球に変化球と緩急を織り交ぜる。丁寧に内外角のコースへと投げ分け、打たせて取った。「力まずに投げようと意識した」と修正能力が光った。

悔しさを糧に、さらなる飛躍へつなげる。昨秋は5年ぶりに東北大会出場も、東奥義塾(青森)との初戦で2回途中8失点と大崩れ。「こんなに打たれたのは初めてだった」と言う。冬場はウエートトレーニングで徹底的に下半身を鍛えた。最速は昨夏にマークした139キロにとどまるが、球威は増し、スピード以上に打者は差し込まれる。「打者がつまっているなと自分でも感じている」と最後の夏に向け、自らの仕上がりに手応えを口にした。

6年ぶり2度目となる夏の夢舞台を目指す。次戦は12日、角館との「県南ダービー」を迎える。「気持ちで圧倒していきたい」と闘志を燃やした。【佐藤究】