第5シードの日大三島は野口央雅(おうが)外野手(3年)が、延長13回にサヨナラ犠飛。掛川西との熱戦を4-3で制し、5年ぶりの決勝進出。2季連続の聖地へあと1勝とした。

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日大三島・野口が、3時間27分の熱戦に終止符を打った。タイブレークに突入した延長13回。3-3の同点とし、なおも1死満塁の好機で打席が回った。カウント1-1から外角直球に反応。打球は左翼へ伸び、サヨナラ犠飛となった。「(打球が)浅くて微妙だったけど(走者が)よくかえってきてくれた」。笑顔で歓喜の輪に飛び込んだ。

意地だった。昨年から主力として活躍も、今大会は準々決勝まで4打数無安打と低迷。4回戦以降は先発も外された。それでも「やれることをやろう」。雨天順延となった前日27日は、学校に戻って練習。後輩の左投手に頼んで、打撃を繰り返した。

「5番左翼」で先発復帰すると、2回の第1打席で掛川西の左腕エース岩沢孔大(3年)から、今大会初安打を記録。「1本出て楽になった」。生みの苦しみから解放され、土壇場の決勝打につながった。

チームの合言葉は「全員野球」。この日、2番手の京井聖奈(3年)が4回2/3を2失点と踏ん張り、2点を追う延長13回は池口奏内野手(2年)松永陽登(3年)の連続タイムリーで同点。文字通り、全員で勝機をつないだ。野口は「また、あの場所へ戻るために全員で頑張りたい」。春夏連続の聖地へあと1勝。次も一丸でつかむ。【前田和哉】

<掛川西あと1歩>

掛川西は善戦するも、あと1歩及ばなかった。延長13回タイブレークは、代打の古川士道(しどう、2年)が中前に2点適時打を放った。2点リードを奪ったが、耐えきれなかった。その裏の守備でミスも絡み、3失点。決勝点となった相手の犠飛も、返球の中継が乱れた間に生還を許した。今春県大会は、コロナ禍の影響で出場を辞退。消化不良に終わった春の雪辱を誓って臨んだが、2年連続の準決勝敗退となった。河原崎琉衣(りゅうい)主将(3年)は「勝ちきれなかったのは自分たちの実力。来年こそは甲子園に行ってほしい」と話し、涙をぬぐった。