市船橋が千葉県勢100勝目をかけた戦いも、あと1歩及ばなかった。

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5点を追う9回。市船橋のアルプスから「市船Soul」が流れ始めると、甲子園は大逆転を期待する手拍子に包まれた。無死二、三塁。打席に向かう森本哲太に、双子の弟の哲星が「打ってくれ」と声をかけた。「もっと一緒にプレーしたい」と、兄は2人の思いを乗せてバットを振り切った。中越えの2点適時二塁打。弟の悔しさは兄が返すといわんばかりに意地をみせた。

2点リードの5回からリリーフ登板した哲星は、変化球の制球が定まらず、この回3失点。逆転を許した。さらに7、8回にも追加点を献上し、5回を投げて9安打5四球で7点を失った。カウントを悪くし、ストライクを取りにいったところを痛打される悪循環に「もっと思い切って腕を振ればよかった」と唇をかんだ。それでも「(兄の哲太が9回に)1本打ってくれた。よかったです。(今まで)よく頑張ってきたね、と話したい」。その哲太は「双子でレギュラーで。甲子園で戦えてよかった」と言った。普段は多くを語らない2人が、感謝の言葉で締めくくった。

卒業後について弟の哲星は「僕はプロの世界で戦いたい」と表明し、兄とは別々の道に進む予定。兄弟そろって甲子園を目指し、ともに夢の舞台に立った。森本ツインズの最後の夏が、幕を閉じた。【保坂淑子】