<全国高校野球選手権:仙台育英6-2愛工大名電>◇18日◇準々決勝

愛工大名電(愛知)が41年ぶりの夏3勝の好成績を残し甲子園を去った。「夏に勝てない」レッテルをはがした倉野光生監督(63)は「心を1つに、いろいろな思いを持ってここまで頑張った。素晴らしい名電野球部の歴史をつくってくれた」とねぎらった。

エース有馬が小技でかき回され、2回3失点で降板。「すきを突いてきて、打者に集中できなかった」と完敗を認めた。好調な打線も2得点にとどまった。

昨夏まで最近10度の夏の甲子園で1勝。その間、準優勝と優勝があるセンバツとは対照的。激戦の愛知を戦い抜く反動か、甲子園で勝てない。倉野監督は「愛知県で春も夏も追いかけるとダメ。今は完全に夏型。夏は間違いなくやれる。前までのセンバツ型だと秋に仕上がってしまい、夏は難しかった」と解説する。

打球速度などを可視化し、個々の成長を促す時間ができた。1つの大部屋で全員が過ごす寮生活で、結束を最大限に高めている。「野球は生活、生活は野球。言葉がなくても互いを分かって行動できる。時間はかかるけど全員で寝起きしている成果です」と同監督はうなずく。6月1日に3年生部員の瀬戸勝登さんが急逝。どん底に沈んだが「勝ち登る」と選手同士で合言葉を定め、夏へ加速した。「後輩には全国制覇を目指してほしい」と有馬主将。夏初制覇という次なる歴史への挑戦はすぐ始まる。【柏原誠】

▽愛工大名電・岩瀬(中日OB岩瀬仁紀氏の長男。2番手で登板し2失点)「最後の試合で結果を出せなかったことは悔しいが、あの場面で投げさせてもらえたことに感謝している。大学で活躍して社会人に行ってから、出来ればプロに行きたい」