甲子園出場経験のない公立校の須磨翔風(兵庫)が、創部15年目で春秋通じて初の近畿大会出場を決めた。エース槙野遥斗投手(2年)が今秋全7試合完投と大車輪の働きで決勝へと導いた。

1点リードの9回裏2死一塁。最後の打者を空振り三振に抑えると槙野がほえた。「疲れがあったので体は良くない状態だったんですけど、最後は気持ちで押し切れた。喜びが大きい」。ガッツポーズも飛び出して、最後を締めくくった。

近畿大会をかけた先発マウンドに立つことは今朝伝えられた。「初回は丁寧にいきすぎたところがあった」と3安打を集められるなど先制を許した。それでも味方が逆転すると、エースとしてリードを保った。9回9安打を打たれながら2失点と粘った。「今までで一番気持ちの入った試合だった」と最後まで投げきった。

これで今秋は地区大会から全7試合を完投。「今大会はいっぱい完投してきて、最終回のマウンドは一番楽しいし、気持ちも入る」と9回のマウンドを楽しむ余裕すら生まれてきた。さらに、「完投することで粘り強くなって、チームからの信頼を強く感じるようになった」と自信を深めている。

中尾修監督(57)も「一番信頼できるピッチャー。ギアを上げるテクニックがある。連投させながら展開が開いたらすぐに代えようと思ったが、なかなか開かず…。最後までよく投げてくれました」と右腕をたたえた。

決勝へ進出し、同校初の近畿大会出場を決めた。「ここまで来るのに支えてくれたり助けてくれた方がいるので感謝して、近畿でもいい結果を残せるように頑張っていきたい」と喜びの表情を見せた。近畿大会の前にまずは7日に報徳学園との決勝を控える。