横浜栄の最速140キロ右腕、本多凌投手(2年)がV候補の桐光学園を相手に堂々の投球をやってのけ、負けた。
号泣しながら会見場に姿を見せた。言葉を発し、少しずつ気持ちを落ち着かせ、潮目が変わったのは報道陣からの「高校を卒業したあとの目標は?」と問われた時だった。
「自分は高校で野球をやめて、大学では普通に暮らしていこうかなと」
報道陣が思わず突っ込み始める。「もったいない!」「ちょっと待って、考え直した方が」「才能あると思いますよ」。泣き顔は10分もしたら、照れ笑いに変わっていた。
本来は客観的であるべき報道陣をそんな空気にさせるほど、スタジアム内に思いが伝わる見事な投球だった。初回からエンジン全開。飛び跳ねるように130キロ台後半の直球とカットボールを投げていく。
桐光学園の1番矢竹を内野ゴロにすると、2番中村、3番森と強力打線の中核をいずれもカットボールで三振に。桐光学園ベンチの指示は「振っていけ」だったとはいえ、その強烈なスイングでさえどんどんと空を切らせていった。
「自分、高校野球もやるか怪しかったんですよ。でもなんか行ってみたら強い高校だったんで、これはちょっとやってみようかなと思って」
中学時代もボーイズリーグで硬式野球をしていたとはいえ、高校であれよあれよと最速140キロにまで。本多本人は「大学で(野球)やっても、結局プロに行けなきゃあまり意味かなって思っちゃう」と達観するものの、ネット裏のNPB関係者からは「面白い(存在)とは聞いてました」とすでに認知する声もある。
2年生の夏になかなか強烈な印象を残し、高校野球はあと1年に。
「球速をもうちょっと上げて、今日のような投球をもうちょっとレベルアップして、気が抜けないように。今日は2巡目からけっこう気が抜けちゃったので。1年間でしっかり詰めて、強豪相手でも1失点か無失点に抑えられる投球をしていきたいです」
19歳の自分を決めるのは、そこからでも遅くない。【金子真仁】
▼桐光学園(神奈川) V候補は1点差勝利で発進した。横浜栄の最速140キロ右腕・本多凌投手(2年)の力投で、強力打線は2得点のみ。高校通算48本塁打の森駿太内野手(3年)も、プロ5球団が視察する中で4打数無安打2三振に封じられ「どの高校も夏の強さを発揮してくるので、最後に1点多く取ることをモットーに。集中力の中に丁寧さを」と引き締めていた。

