春季県大会優勝校の中越が日本文理に6-2で勝った。3回裏1死二、三塁で2番堤歩力我遊撃手(3年)が右中間に先制の2点適時三塁打を放ち、チームを乗せた。
新潟明訓は長岡との接戦を2-1で制した。今大会初登板となったエースの田村洸太郎投手(3年)が1ー1の5回から3番手で登板。5イニングを無失点に抑えて逆転勝ちに導いた。
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派手なガッツポーズが飛び出した。中越・堤は三塁を回りかけところで両方の拳を高々と突き上げた。「普段はしないようにしているけど、思わず出てしまった」。我を忘れるほどテンションは爆上がりだった。
先制機の3回裏1死二、三塁。直球を右中間に運ぶ。1回裏の1打席目は空振り三振していた。「全部外角の球だった。2打席目はベースに近づいて狙った」と分析を生かして打ち返した。
名誉挽回の機会を待っていた。昨秋の北信越大会、中越は1回戦で大野(福井)に0-2で敗れた。堤は9回裏二死満塁の場面で凡打に終わった。守備でも自らの失策で失点した。「悔しさをずっと持っていた」。冬場は打撃改善に取り組んだ。力みがちだったフォームをリラックスして構える形に修正した。西武源田壮亮を手本にする守備は、この日は無失策だった。
群馬県出身。「甲子園愛が強いから」と中越に進学した。夏の甲子園の出場は日本文理が12度、中越が11度。新潟のトップを争う宿敵のことも入学前から知っていた。高崎商野球部だった父比美紀さん(53)から前日15日にはLINEがきた。「どんな相手だろうと自信を持ってやれ」。アドバイスを実行し、難敵撃破の原動力になった。
本田仁哉監督(48)は「組み合わせが決まってからずっと日本文理が頭にあった」と言う。今大会の対戦は17年夏の決勝で4-6で敗れて以来。日本文理が優勝した21年夏、勝ち上がれば3回戦で対戦だったが、中越は新型コロナウイルス感染の影響で初戦(2回戦)を前に出場辞退した。当時3年生で主力だった鷲沢皇源さん(独協大4年)らが訪れ、大一番を前にした練習をサポートした。「彼らの思いもあって。勝ちたかった」。本田監督は感慨深そうに話す。
大きな山を越えた。「でも、ここからが勝負」。そう言った堤の表情に歓喜はもうなかった。【斎藤慎一郎】
○…中越の左腕エース雨木天空投手(3年)が4安打2失点で完投した。「調子はいい方ではなかった」と直球に本来の切れがなかったが、スライダーとカットボールを中心にかわす投球。2失点した8回は押し出しの四球を与えたが「1点はOK。緊張しなかった」とピンチにも顔色ひとつ変えなかった。日本文理との対戦も「特に意識しなかった」という強心臓の大黒柱。「1つ1つが決勝戦だと思って、あと4試合勝ちにいく」と力強く言った。

