熊本工はエース堤大輔投手(3年)が優勝候補を相手に一歩も引かぬ熱投を見せたが、打線が援護できず完封負けを喫した。堤は、冬場に磨き上げたカットボールを武器に、最強打線を翻弄(ほんろう)した。「真っすぐと腕の振りを同じにした」というカットボールを内角に投げ込み、左打者の芯を外す。中盤には3者凡退の山を築き、甲子園をどよめかせた。

初回に失った1点を悔やんだ。2死一、二塁から4番谷渕に対し、初球のカーブでタイミングが合っていないと見るや、次も同じ球を選択。「攻めた結果」だったが、わずかに甘く入ったところを痛打された。それでも2回以降は修正し、7回まで無失点。「自分が見えていた景色をイメージしながら投げられた」と手応えを口にした。

今大会から導入されたDH制も効果的に使った。8回2死後に降板すると、DHを解除して二塁の守備についた。「この形は練習試合で8試合経験しているので、想定していた。序盤はピッチングに専念できるのでありがたい」と振り返った。打者としては、9回2死走者なしから大阪桐蔭・川本の143キロ直球を右前へ運んだ。「バッティングも好きなので1本出てよかった」と笑顔を見せた。昨秋までは本職だったセカンドで軽快な動きも見せ、投打にわたるセンスの高さを見せた。

07年以来の勝利はならなかったが、強豪と互角に渡り合えた収穫を得た。「夏は絶対的なエースになって戻ってきます」と力強く言い切った。「古豪から強豪へ」を掲げる熊本工・田島圭介監督(45)も「負けてしまいましたが、いいチャンスの作り方はしてくれた。堤と中村の引き出しを私も楽しみにしていたが、存分に出してくれたと思う。あそこで追いついていればという場面もあったが、チャレンジした結果。しっかり受け入れたい」と前を向いた。

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