智弁学園(奈良)が花咲徳栄(埼玉)にセンバツ史上最大8点差をひっくり返す大逆転勝利を決め、優勝した16年以来の春4強入りを決めた。志村叶大内野手(3年)が1点を追う5回2死一、三塁で決勝の2点適時二塁打を放ち、同校の春夏通算50勝目をもたらした。八戸学院光星(青森)に競り勝った中京大中京(愛知)と29日の準決勝で対戦する。専大松戸(千葉)は山梨学院に、大阪桐蔭は英明(香川)に、それぞれ1点差ゲームを制してベスト4進出を決めた。
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大逆転劇を呼び込む一打に、智弁学園の志村が二塁ベース上で何度もほえた。2度、3度と右のこぶしを振り上げた。センバツ史上初めて、8点差をひっくり返した逆転劇にどよめく甲子園。一塁アルプスは赤いメガホンが激しく揺れた。161センチの小柄なヒーローが全部の視線を集めた。
「絶対に一発で仕留めると思って、打席に入った」
2点を追う5回に1点差に迫り、なお2死一、三塁。真ん中高めの142キロ直球を完璧に捉えた。「真っすぐで押すと思った」。4番手のエース右腕、黒川の代わりっぱなを狙い通りに仕留めた。打球は右中間を破り、歴史的逆転を完結させる決勝の2点適時二塁打となった。2年生で出場した昨夏は奈良大会決勝で最後の打者となった。1点を追う9回2死満塁で左飛に倒れて天理に甲子園出場を譲り、絶望感に打ちひしがれた。「先輩の顔に泥を塗ってしまった…」。挫折を乗り越えた背番号4が春本番でチームを救った。
2回表を終え、スコアは0-8だった。あまりに大きいビハインドだったが「最後まで諦めなかったら絶対勝てると、チーム全体で思っていたので」と焦りはなかった。まだ、試合序盤。「1点ずついこう」。シンプルな言葉をかけ合い、反撃の士気を高めた。2回に1点を返すと、もう止まらない。3回3点、4回2点、5回、6回は3点ずつ。冬場は1500回の素振りを課し「どこよりもバットを振った」という自負があった。先発全員の15安打12得点。積み重ねた鍛錬努力に裏打ちされた自信が両軍計26安打の乱打戦を制す原動力になった。
春は阪神村上を擁して優勝した16年以来の4強入り。さらに、春夏通算50勝目、小坂監督にとって監督通算30勝目と節目ずくめの1勝となった。志村は「自分たちに力がつく勝利。自信になった」と胸を張った。ドラマチックな劇的勝利の勢いで、紫紺の大優勝旗をつかみにいく。【佐藤究】
◆志村叶大(しむら・かなた)2008年(平20)5月23日生まれ、東大阪市出身。小学1年から上四条瓢箪山ソフトボールチームに所属、縄手中では東大阪BBCヤングでプレー。智弁学園では1年夏からベンチ入り。161センチ、68キロ。50メートル走6秒4。遠投90メートル。右投げ左打ち。
智弁学園・小坂監督(8点差の逆転勝利に)「(2回表で0-8は)想定外でしたよ。どないしよかなと思いました。攻撃陣が本当にによく粘って、よくやってくれたと思います」

