東北勢3年ぶりのセンバツ8強入りを目指し、花巻東(岩手)が29日、2回戦に出陣する。第1試合で明豊(大分)と対戦する花巻東は28日、兵庫・西宮市内で約2時間、調整を行った。25日の鵡川(北海道)戦で最速152キロを出し、2安打12三振で完封勝利を挙げたエース菊池雄星(3年)は、初戦の快投は忘れて次戦に集中する。

 この日、菊池は30球ほど投球練習を行った。球の回転やフォームの確認が目的で、あとは外野を走るなどにとどめ、体を休ませた。8回2死まで完全試合、9回1死までノーヒットノーラン。あの初戦の快投で、名前は全国にとどろいた。だが菊池は「チームが勝つための投球をした結果。記録のことは頭にない。初戦は忘れて、次の試合に集中するよう切り替えていく」と淡々と話した。

 明豊打線は強力だ。「特にクリーンアップは高めに行ったら持っていかれる。低めに集めたい」と初戦同様の投球を心がける。「目標だった150キロが出た。スピードは、もういい。あとはコントロールに集中する」と球速にもこだわらない。宿舎では相手打線の分析に時間をかけた。

 初戦勝利の後、昨秋東北大会で準優勝しながら選考にもれた一関学院(岩手)の数人の選手から、祝福のメッセージがメールで届いた。また今大会初戦で敗退した光星学院(青森)のエース下沖勇樹(3年)からも「150キロおめでとう!

 次も頑張れ」とのメッセージが届いた。中学時代、岩手を代表する左右の好投手だった間柄だ。

 仲良しライバルからの、心強い祝福と激励。「うれしい。彼らの分も頑張らないと」と菊池は話す。勝てば06年の秋田商以来のセンバツ東北勢ベスト8。今センバツの主役に上り詰める第2章が29日、幕を開ける。【北村宏平】