<センバツ高校野球:利府2-1習志野>◇29日◇2回戦

 初出場の利府(宮城)はサヨナラ勝ちで21世紀枠校8年ぶりの8強だ。

 乾いた金属音を響かせ打球が左中間を抜ける。9回2死一、二塁、利府2番藤原が放った打球が、21世紀枠校初のサヨナラ勝ちを告げた。「何も考えずに、上からたたいた」ともみくちゃだ。スクールカラーの青に染まったアルプスが、大歓声に包まれた。

 直前に1番遠藤が敬遠で歩かされた。藤原は冷静に打席に立った。「自分で決めるより、つなごうと思った」と集中した。狙い通り、4球目の124キロ直球をはじき返した。雪深い冬場はビニールハウスの中でバットを振る。いぶし銀の男が、21世紀枠校8年ぶり8強を決めるヒーローになった。

 左腕エース塚本は10安打を浴びながら要所を締めた。風邪が流行し、塚本ら体調を崩す選手が多発する中、粘り勝った。31日の準々決勝は同枠最高タイの4強をかけて早実と対戦する。藤原は「まさか早実とやれるとは思わなかった。名門と戦える。思い切りぶつかる」と金星を狙う。