<センバツ高校野球:清峰8-2箕島>◇30日◇準々決勝

 清峰(長崎)はプロ注目右腕、今村猛投手(3年)が3試合連続の2ケタ三振となる10奪三振。8-2で箕島(和歌山)に勝利し、3年ぶりの4強だ。

 背番号1をつけた今村は右翼で3年ぶりの準決勝進出の瞬間を見届けた。8回までスコアボードに0を並べたにもかかわらずエースは最終回、下級生の中野にマウンドを譲った。3試合連続完封も消えた。

 記録達成まであと1イニングだった。3試合連続完封と同時に3試合連続2ケタ奪三振を達成すれば史上初の快挙。今村は8回までで初戦から26イニング無失点を守り続け10奪三振。快挙達成の直前、8回の投球を終えてベンチに戻ってきたとき吉田監督に聞かれた。「中野に経験させてやろうと思うけど、どうか」。点差が開いての交代は試合前からの決定していたこと。今村は「どうぞ」と即答した。「完封はどっちでもよかった。とりあえず勝てばいいんで」。自分よりチームを優先させた。

 5四死球で5回以外は毎回走者を背負った。それでもギアチェンジした7回には初球で147キロをマーク。140キロ前後の直球で押した。次は3年ぶりの決勝進出をかけて報徳学園と対戦する。「明日はしっかり休んで準決勝に備えます」。長崎県勢春夏通じての初優勝まであと2勝。記録は逃したが「初快挙」はそれまでとっておけばいい。【前田泰子】