<センバツ高校野球:花巻東5-3南陽工>◇3月31日◇準々決勝

 花巻東(岩手)は、5-3で南陽工(山口)に逆転勝ちし84年の大船渡以来、県勢2度目のベスト4に進出した。先発の猿川拓朗(3年)が5回3失点も、7回に同点2ランで逆転劇を演出した。

 あらん限りの力で、猿川が高めのボール球を振り抜いた。7回1死二塁。バックスクリーンにたたき込む同点2ランだ。「打った瞬間、行くと思いました。歓声がすごくて、スッキリしました」。その後、2死一塁から菊池の適時二塁打で勝ち越しに成功。先発して3失点を喫した猿川が、県勢3人(4本)目となるセンバツアーチで試合を振りだしに戻し、同時に逆転勝利もたぐり寄せた。

 昨秋の新チーム発足時から、選手たちはウオーミングアップ中の一発芸でムードを高めてきた。笑いを絶やさないイケイケムードが生んだ逆転勝利に佐々木洋監督(33)も「(逆転は)うちの伝統なんですよ。最後まであきらめない野球ができています」と、チームの雰囲気に笑顔だ。準決勝に駒を進めたが猿川は「ここまで来たら、優勝しかない」。勢いそのままに、頂点へまっしぐらだ。【由本裕貴】