<高校野球静岡大会>◇25日◇浜松球場◇準決勝

 13年ぶりの甲子園を目指した浜松工が、準決勝で常葉学園菊川に2-5で敗れた。昨夏は正捕手だった橋本和樹投手(3年)と、中学で野球を始め、外野手が本職だった佐藤康裕投手(3年)の異色の2枚看板の力投でノーシードから4強まで勝ち上がった最高の夏。常葉菊川OBの稲垣博監督(38)の指揮の下、でっかい夢を追いかけた2人のエースの挑戦が終わった。

 誰よりも激しく、大声で橋本和は泣いた。主将兼エースのプライドと全部員の夢を背負って上ったマウンドで、相手の強力打線を抑えきれなかった。24日の準々決勝の2回に続く、3回3失点の早すぎる降板。「今日は絶対に投げ切るつもりだったのに…」。昨年は正捕手だった。甲子園を本気で目指した稲垣監督に、強肩を買われて投手に転向した。「佐藤のおかげでここまで来られた。感謝しています」と肩を震わせた。

 ベンチ前にうずくまり、佐藤も泣いた。24日同様、序盤に急きょ中堅からマウンドに回った。疲れと重圧の中、5回を3安打と耐えたが、終盤つかまった。「流れを変えたかったけど、最後は腕を振り切れなかった」。12歳で野球を始め、6年でたどり着いた大舞台。「この仲間と野球ができて本当によかった」。悔しさの中に、持てる力を出し尽くした充実感も漂った。【大石健司】