阪神先発の岩貞が2軍降格の窮地に陥った。広島に対する「コイ患い」が長すぎる…。首位広島に挑む2戦目は夕方のうちに勝負が決した。2回、瞬く間に5点を失う。石原を詰まらせた打球は中堅西岡のダイブもむなしくポトリ。先制点を献上した直後、闘争心がまるで出ていなかった。

 2死満塁になり、広角に打てて逆方向にも強い打球を飛ばせる田中に外角直球の一辺倒。打ち頃の球をライナーで左翼線にはじき返され、2点を失った。香田投手コーチは言う。「もう少し違うスタイルで打者を攻めないと。高さを意識するとか、打者が嫌がることを工夫してやらないと」。胸元を突く球で攻められない。2回が致命的で、3回も深手を負った。

 前半戦は不調だった。仕切り直すはずの後半戦初陣を今季最短の3回6失点KOされた。広島戦は14年から4年間で1度も勝てず13戦8敗。今季に限ると3戦2敗で防御率10・50だ。金本監督も「不安げに投げていた。首位のチームとやるような投球じゃない」と言い切り、今後の起用法を問われると「考えますよ」と話した。開幕から安定せず、2軍落ちのピンチを迎えた。ファームでは島本、岩田が好調を維持しており、先発陣の再編を強いられそうだ。

 因縁のライバルに勝てない。相手先発の大瀬良は13年ドラフト1位の同期生。阪神が大瀬良を指名競合で外した経緯もある。3度目の直接対決で3連敗。無言でクラブハウスに引き揚げた。先発が試合を作れないと、赤ヘル軍団と渡り合えない。【酒井俊作】

 ▼阪神の今季広島戦13試合での先発投手の防御率5・90、被打率3割2分9厘はいずれも対セ・リーグ球団ワースト。同カードの先発対戦防御率は16年5・02、15年3・53もいずれも対セ最悪と、3年連続で苦戦している。