カネよ、あと2年で勝て! 元阪神監督の闘将・星野仙一氏(70=楽天球団副会長)が1日、阪神金本知憲監督(49)に「優勝期限」だ。同氏の野球殿堂入りを祝う会が大阪市北区のホテルで行われ、約1000人が参加。壇上に03年の優勝メンバーがずらりと並ぶタイミングで、金本監督に対し「あと2年で結果を出せ!」と優勝期限を設定し、V奪回を期待した。

 星野氏らしい指令だった。すでに楽天の要職についているとはいえ、子ども時代から愛してやまない阪神、そして自らの監督時代にFAで獲得した金本監督に対し、キッパリと優勝への期限を切った。

 「このメンバーや! このメンバーで新しい阪神を作ってくれ。そして、あと2年や。2年で結果を出せ!」

 ビックリ発言は、野球殿堂入りを祝う会での見せ場で飛び出した。金本監督をはじめ、矢野、桧山、片岡、赤星ら栄光の18年ぶり優勝を果たした03年の選手、コーチのメンバーがずらりと並んだ。

 「こんなにそろうのは、あれ以来やろな」。星野氏も目を細めて口にする光景が展開された。同会は先日、東京都内でも開催されたが、この日は大阪、もちろん阪神のお膝元だ。これ以上ないぐらい、阪神色に染まった。

 「普段はあまり言わないけどな、このメンバーには感謝しているんだ」。そう感慨にふけっていた星野氏だったが現在の金本阪神について話が及ぶと眼光鋭く言い切った。「あと2年やぞ」。

 会の後に真意を問われた星野氏は言った。「2年で優勝できるということだ。若い、いい選手が阪神はいっぱい出てきている。そいつらが力を出せば」。リミットを切ると同時に2年以内の優勝を確信しての発言だった。

 「阪神に来るときはストーカーのように電話をもらいました。これからも阪神への後押しをお願いしたい」。星野氏について笑顔で話していた金本監督もこれを聞き、引き締まった表情になった。

 「生きている間に、甲子園で楽天との日本シリーズをやる。それがオレの夢なんだ。どちらが勝っても、どちらかが負ければ実現しない」

 常々、口にする夢を、殿堂入りを記念する自身の晴れ舞台でも繰り返した。もちろん2年と言わず、来季の優勝が金本阪神にとって目標なのは言うまでもない。だがV戦士が集う夢舞台での「期限設定」は、なんとも闘将らしかった。【編集委員・高原寿夫】