劇的勝利の中でソフトバンク中田賢一投手(36)がプロ通算100勝(史上136人目)を手にした。

8-8の延長11回からマウンドへ上がった。「ブルペンで(試合を)見ていて、みんなの気持ちに乗せられてマウンドに上がった。しっかりしたボールを投げようと思った」。四球と安打で2死一、二塁のピンチを招いたが、7番松井をフォークで空振り三振に仕留めた。続く12回。この回を抑えればチームの負けはない。中田はさらに気迫を込めた。森、斉藤彰、そして秋山の3人をすべてフォークボールで空振り三振に切った。「1イニング投げて、もう1回行くつもりでいた。気持ちを切らなくてよかった。今季一番気合が入っていました」。直後にグラシアルのサヨナラ満塁弾が飛び出しメモリアルの白星を手にした。

「(100勝は)自分ができるとは思っていなかった。強い体に生んでくれた両親に感謝したい」。ウイニングボールは右翼席に消えたが、最終打者・秋山を三振に仕留めたボールは捕手高谷が渡してくれた。「これからもチームのためにどういう場所であれ、目の前の仕事を全うしようと思う」。今季は先発、中継ぎと持ち場が変わるが、14年目のベテラン右腕は逆転優勝を目指すチームのため、腕を振り続ける。