大逆転での9連勝だ。ソフトバンクが、西武18回戦(ヤフオクドーム)で延長12回サヨナラ勝ちした。序盤の6点リードを逆転されながらも8回に柳田悠岐外野手(29)が初回に続いて2本目の2ランとなる30号で同点。12回はジュリスベル・グラシアル内野手(32)が4号満塁弾を放ち、壮絶な打ち合いにケリをつけた。首位西武に3連勝し、最大11・5あったゲーム差は5まで縮んだ。

最後はド派手に決まった。同点の延長12回、1死満塁で3番グラシアルが2ストライクから外角高めの150キロを捉えた。ネクストバッターズサークルの4番柳田は、その瞬間にサヨナラのグランドスラムと確信したという。「打球が上がった瞬間、めちゃ飛んでるやん」。本塁付近で歓喜の輪をつくり、ヘルメットを脱ぎ捨てて笑顔で飛び込んできたキューバの強打者を手荒く迎えた。

4時間48分の激闘。2回までに6点を奪ったが、7回に追いつかれ、8回には2点のリードを許した。追い詰められた中で、一振りで流れを戻したのは柳田だった。「詰まりましたけど入ってくれてよかった」。8回無死一塁で平井のスライダーを右中間のテラス席へ運ぶ同点30号2ラン。工藤監督が「チームを救ってくれた本塁打。みんなに勇気を与えてくれた」と興奮気味に振り返るほどの強烈な1発だった。

初回には3戦連発となる先制の29号2ランを放った。8回の1発で2年連続3度目の30号の大台に到達した。現在、打率はトップの3割5分3厘、盗塁は19で2度目のトリプルスリーも狙える状況だが、個人記録は「こだわりは正直ない」と眼中にない。「ケガなく最後まで戦いたい。(今日は)勝ててよかった。みんなで束になって勝てた」と、逆転の連覇だけに集中している。

「1つも負けられない」と意気込んでいた2位日本ハム、1位西武との6連戦を宣言通りの6連勝とした。首位西武と最大11・5差あったゲーム差は5まで縮まった。工藤監督が「西武の背中がやっと見えてきた。本当の戦いはここから始まる」と言えば、柳田は「ここからが大事と思う。まだまだ勝てるように」と表情を引き締めた。9月には西武との直接対決が7試合残っている。【石橋隆雄】