プロ野球が9日ぶりに、北海道に帰ってきた。日本ハムは、胸に「HOKKAIDO」のロゴが入ったサードユニホームを着用した。特別な一戦だと、誰もが分かっていた。そして接戦を制した。栗山英樹監督(57)は「どうしても勝ちたかった」と、1勝の重みをかみしめた。

1点を追う4回、気持ちがつながった。1死から近藤がチーム初安打で出塁。続く中田はバットを折られて詰まった遊撃へのゴロだったが、近藤も中田も必死に走った。これが野選を誘い、レアードも四球を選んで1死満塁。清宮が同点の押し出し四球を選んだ。鶴岡も、詰まりながら勝ち越しの中前適時打。足を運んだファンを喜ばせた。

6日未明に発生した大地震から、北海道に平時は戻っていない。余震は震源地近くを中心に続いている。安定した電力供給のメドも不透明だ。札幌ドームもグラウンド上の大型ビジョン2台のうち、1台を試合中も消灯した。照明もバックスクリーン上部やバックネット上部は間引くなど、できる限りの節電を実行。野球が出来る環境を整えてもらった選手は、一球一打に全力を尽くした。

試合前にはオリックスの協力も得て、義援金募金を監督や選手らが呼びかけた。さらに、来場したファンへ向け、事前撮影された選手からのメッセージが上映された。選手会長の中島は「みんなで、一緒に乗り越えましょう」。キャプテンの中田は「今日を復興へのプレーボールとすることを誓います」。2人の後ろには1、2軍全選手、首脳陣がいた。野球の力、ファイターズの力を結集して全力で戦い抜く決意を示した。

栗山監督は「小さなものが集まれば、大きなものになる。それは世の中の道理だ」と、話した。チーム1人1人の思いを大きな力に変えて、日本ハムは、目指す逆転優勝へ再出発した。【木下大輔】