日本ハム鶴岡慎也捕手(37)の北海道愛が、全てを超越した。同点とした直後の4回1死満塁。内角に食い込む148キロの直球系をバットで押し込んだ。

打球は中前で弾んだ。「僕は“気持ち”で打つことはないけど、今日は“気持ち1本”で打ちました」。6回も“気持ち1本”で左前へ打球を落として追加点を挙げた。技術うんぬんは関係ない。勝ちたい-。その一心だけが、貴重なタイムリーを生み出した。

背負った使命を果たした。今季、5年ぶりに日本ハムに復帰した。昨年12月の入団会見で、力強く話した決意があった。

鶴岡 北海道の土地で、北海道で育った妻ももらいましたし、家族を築きました。元々、九州の人間ですけど、やっぱり北海道にすごく育てられているという感謝の気持ちがある。これから北海道を盛り上げていきたい。今は使命感も若干、あります。

6日未明の地震は、札幌市内の自宅で被災。7日には家族を残して仙台遠征に出て、11日から2日間は鎌ケ谷で練習した。「北海道のことが、ずっと気になっていた。節電と言われている中でナイターをやっていいのか、とも思った。でも、試合をやると決まったら成績を残すのがプロ野球選手。みんな勝ちたいと思ってプレーボールを迎えた。ここからも1番は勝つこと。絶対に負けないように勝ち続けていきたい」。お立ち台では優勝宣言した。言葉通り、復興へ向かう北海道を盛り上げていく。【木下大輔】