4日のヤクルトに敗れ、阪神のクライマックスシリーズへの道は断たれた。金本監督の責任は重い。いったい、この3年間で、何が残ったというのだろうか。

「過去3年間のチームのなかで、いちばん強い」と手応えを語ったが、大いなる読み違いだった。期待したファンの失望感は計り知れない。

「超変革」を掲げた1年目は4位。「挑む」の昨季は広島に10ゲーム差をつけられての2位だった。今シーズンは「執念」を示すことができなかった。

チーム勝率4割4分は、現時点において、金本監督が指揮をとった3年間でもっとも低い。戦力的に見劣りしなかっただけに最下位は考えられない。

大型補強に踏み切った新外国人ロサリオの不振が低迷の象徴だ。新体制になった球団フロントも優勝を疑わなかったが、絵に描いた餅だった。

最後までセンターラインは固定できなかった。広島、西武などは、若手の「4番」が育ったが、阪神の場合はFA、外国人に頼らざるを得ない状況が続いている。

助っ人がこけると悲惨な結果に陥ったのは、かつての“暗黒時代”と似通っている。投手ではメッセンジャーに次ぐ若きエース候補の育成は急務のはずだがかなわなかった。

投打にわたって若手が継続して伸びないことで、戦力アップにつながるはずはなかった。果たして球団主導で行われるべき指導役のコーチ人事は的確だったのか。

特に、シーズン後半になって、身内のコーチが練習中、今から一戦を交えるというのに、相手チームのコーチと話し込む光景には違和感を覚えた。

それは、打撃練習の真っただ中、さらに試合開始寸前のウオーミングアップ中など、幾度も見受けられた。戦いに出る選手はどう思っただろうか。

厳しく戦闘姿勢を示しながらリーグ優勝した星野監督、岡田監督らが率いた時代では考えられない。チームの緩みとも受け取れるシーンは、金本監督の求心力低下を感じさせた。

阪神が負け越した巨人の大刷新をはじめ、どのチームでもてこ入れが断行される。阪神も当然そうだろうが、同じ轍(てつ)を踏まないためにも、中長期ビジョンを描きながら、的確なチーム作りを望みたい。【編集委員・寺尾博和】