ソフトバンクが初回に思わぬ重盗成功から大量得点を奪い、両リーグ20勝一番乗りを果たした。1番川島慶三内野手(35)と2番周東佑京外野手(23)のコンビで先制点をゲット。

今季2度目の5連勝を飾り、貯金は今季最多の9となった。2日ぶりにパ・リーグの貯金を再び独占し、2位に4・5ゲーム差。故障者続出の中で独走気配を漂わせ始めた。

周東の足と川島の判断力が連勝キープへの引き金となった。1回無死一、三塁で打席に3番今宮。カウント1-2から、左腕アルバースが一塁へ2度目のけん制をした時だった。一塁走者周東が二塁へ向かって飛び出してしまった。「あ…。終わった。もう逃げ切るしかない…」(周東)。だが、思わぬ結末が待っていた。

一塁手T-岡田からショート大城に送球されたが、周東はアウトにならず、再びT-岡田にボールが渡った。その瞬間、三塁走者川島が本塁へ。頭から飛び込む本盗で先制点をもぎ取った川島は「(最悪でも)周東が二塁に残ればいい。アウトになっても周東のせいだと思って走った。周東がよく粘ってくれた。大城にタッチされなかったことがすべて」と、粘った周東を持ち上げた。一方で冷静な判断も。本塁へスタートを切るタイミングをはかっていたが、右利きの大城ではなく左利きのT-岡田にボールが渡ったことで決断。一、二塁間の挟殺プレー中の本塁送球は、一塁手の左投げ選手は体を反転させる必要があり、時間がかかるためだ。

周東のミスをベテラン川島が救い、結果的に重盗成功、しかも、二塁を陥れた周東は今季9個目の盗塁で成功率100%も保ったまま。「成功率はもう気にせずやっている。(川島)慶三さんにはありがたいです」と感謝した。このビッグプレーで勢いに乗り、初回6点、2回に3点と早々と試合の流れを決めた。

チームは今季2度目の5連勝。この日、上林が右手薬指を骨折していたことが判明。柳田、中村晃、福田ら主力が離脱し、ますます周東や三森らニューフェースにかかる期待は大きい。工藤監督は「チームが勢いづいている。上がってきた若手たちがノビノビやっていることがうれしい」と話すように、故障者続出の穴を感じさせず、パの貯金を再び独占した。【石橋隆雄】