中日吉見一起投手(34)が先輩との直接対決を制し、今季初勝利を飾った。今季4度目、62日ぶりの先発マウンドで相対したのは、トヨタ自動車の1年先輩の日本ハム金子。吉見は6回途中3安打1失点で投げ勝ち、白星をたぐり寄せた。

同じ19番を背負う社会人時代の先輩との、プロ初対決だった。「こんな巡り合わせはない。僕が認めてきた人だった。運命、奇跡ともいえる」。14年沢村賞右腕相手に3回までパーフェクト。4回1死一、二塁のピンチで、主砲・中田を二飛。清宮をスライダーで空振り三振に打ち取った。背中を追った先輩との直接対決が、吉見復活の日になった。

開幕ローテーションを託されたが、3試合で0勝1敗。4月22日に不調で出場選手登録を抹消された。2軍で調整を続け、1軍復帰に備えた。阿知羅、清水、勝野ら若手が先発初勝利を挙げ、吉見の抜けた穴を埋めていく。「変えるところはなかった。コンディションを落とさないように日々過ごしていた」。歯がゆい思いで2軍で4試合に先発し、1軍から声がかかる日を待ち続けた。

「(今日は)結構、人生かけていた。ダメだったらという思いもあった。投げきりたい、7回までは投げたいという思いもあったが、今日は勝てたことを喜びたい。白(星)がついた。乗っていきたい」。プロ14年目で刻んだ通算89勝目。ベテランにとって、忘れられない1勝になった。【伊東大介】