新人王指南。広島野村祐輔投手(30)が10日、マツダスタジアム内の球団事務所で契約更改交渉を行い、現状維持の1億2000万円プラス出来高の2年契約を交わした。交渉前に初対面し、共闘を誓い合った明大の後輩・ドラフト1位森下暢仁投手(22)には、新人王獲得への3カ条を授けた。来季は後輩ごとチームを引っ張っていく覚悟だ。(金額は推定)

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プロで酸いも甘いも経験したからこそ、伝えられるものがある。9年目のシーズンへ契約を更改した野村は、交渉前に球場内の施設見学に訪れた森下と初対面。固い握手を交わし、来季からの共闘を誓い合った。森下はプロでは初となる明大の後輩投手。報道陣を通じ、「新人王」獲得への3カ条をこう提言した。

一、自然体でぶつかれ

一、1年間投げ抜く体力

一、環境づくり

明大の主将で、ドラフト1位、入団の即戦力右腕と、後輩と共通点は多い。自身は1年目の12年に後輩も目標に掲げる新人王を獲得した。「楽しみの方が大きかった。怖いもの知らずでいけた。自分の力を出すというのが一番」。1年目はあくまで挑戦者。自然体でぶつかればいい。それこそ、新人の特権だ。

大学球界屈指の実力者が前評判通りの力を発揮できれば、おのずと結果はついてくる。「自分が投げやすい、パフォーマンスを出しやすい環境をつくっていくのがいい」。ただ、体力強化は欠かせない。長丁場のプロのペナントレースは、春季と秋季に分かれた大学野球とは違う。「1年間戦うというのは本当にしんどいことだと感じたので、1年やりきってほしい。そしたら新人王とかも付いてくると思う」。入寮までの取り組みも重要になる。

自身にとって来年は巻き返しを期すシーズンとなる。今年は4年ぶりに登板回数100イニング以下にとどまり、6勝5敗。2年連続防御率4点台となった。「見本となる選手でいないといけない。先輩として後輩を引っ張っていけるように頑張っていきたい」。現状維持に加え、規定投球回などが条件とみられる出来高の提示は期待の表れ。日本人投手で中村恭に次ぐ年長者となり、チーム内での立場も変わった。後輩とチームを引っ張る大黒柱とならなければいけない。【前原淳】