どこで何を取材するか。1つのウイルスによってこうも変わってしまう。不安や恐怖は子どもも大人も選手も記者も変わらない。西武山川は「最善の注意を払ってるけど僕たちも感染しない保証はない」と言った。その中で真のスポーツの力を今、感じる。

4日付の日刊スポーツ1面(東京版)で西武中村の人生初の先頭打者本塁打に「塗り絵」を添えた。休校になった子どもたち、その親に異様な今の時間を少しでも楽しんでもらいたいという思いからの紙面。私の4歳の長男も夢中に色鉛筆を手にした。中村本人に見せると「モデルにしないでください」と言いながらも、うれしそうだった。西武栗山は「いいホームランだった。やっぱり、おかわりは絵になる。いい1面だったと思います」と言った。

1946年3月6日、日刊スポーツが創刊された。日本初のスポーツ新聞は戦後半年で国土が荒廃した世に1面で「スポーツを読者の手に、本当に楽しめるスポーツを。そして建設の苦難続くこの時を明るく朗らかにしようではありませんか」と記した。メダルや勝敗、そんな基準で測れない真のスポーツの力を今、感じている。今はできないことがある。同時に今しかできないこともある。スポーツは大人も子どもも豊かにする。スポーツ新聞もそうありたい。【プロ野球担当・為田聡史】