今季限りで現役を引退する巨人岩隈久志投手（39）が23日、東京ドームで記者会見を行った。引退を決断した理由に、右肩の脱臼を告白。古巣の近鉄、楽天、マリナーズ時代の思い出も語った。会見の冒頭には、原辰徳監督（62）がサプライズ登場し花束を贈呈。世界一を達成した第2回WBCの思い出とともに、「クマさん」の21年間の現役生活へねぎらいの言葉を送った。引退セレモニーは11月7日ヤクルト戦（東京ドーム）で行われる。

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原監督は、岩隈の引退会見にサプライズで登場した。「21年間、ご苦労さまです」と花束を渡した後に握手を交わし、ねぎらいの言葉を贈った。

「21年間、後半の数年間は非常につらいリハビリ、もう1度復活という中でやってきた。本人は悔しい経験だったでしょうけど、貴重な経験の中、さんぜんと輝く現役生活の数字たるや、これは前人未到の、日本のみならず、メジャーリーグにおいてもね。私の中で最も印象に残ってるのはWBCの2009年。私の中ではピッチャーのMVPは岩隈、クマさんだと。そして、バッターのMVPはガッツ（小笠原道大）だと」

18年オフ、3度目の監督就任にあたって、真っ先に調査したのは岩隈だった。

「（右肩の）手術も終わり、マイナーリーグで試合にも投げ始めてると。最初に白羽の矢を立てたのが、岩隈投手でした。いろいろ考えることもあったでしょうが、メンバーに加わってくれた。3度目の監督をやるにあたって、非常に勇気がわいた瞬間でした。私の中では何とかジャイアンツのユニホームを着て、ジャイアンツファン、プロ野球ファンに、新しく、生まれ変わった岩隈投手を見てもらいたいと。私も見たいという中で戦ってきた」

一進一退のリハビリの中、岩隈の復活を心から願い、信じ続けたのも原監督だった。

「私は結構しつこい人間で、どうしても今年後半、彼を戦いの場に入れたいと。日にちを指定し、東京ドームのマウンドでシートバッティング。いいバッターをそろえると。彼もその日に対し、揚々と『分かりました』と。その日を迎え、スタンドから21番という勇姿を見てました。ただ、私の知ってる岩隈投手の姿には見えなかった。いざ投げて、1球目にその時の全力で放ったと思います。バッターの肩に当たってしまい、その場でひざまずき、相当の激痛だったと思いますが、肩を脱臼してしまった。私も彼と挑戦したいと。彼も懸命に投げたボールだと思います。それを最後に見させてもらった」

その約10日後、岩隈と話し合いの場を持ち、現役引退の意思を伝えられた。

「素晴らしい野球人生だったと。さんぜんと輝く、レジェンドであると。胸を張ってユニホームを脱ぎ、これから先の人生の方が長いわけですから、野球人として、社会人として、生きていこうと。2人の夢はかないませんでしたが、最後の最後まで戦ってる姿は強く印象に残っております。懸命にリハビリする姿は若い選手の手本になって、大きな財産をつくってくれた。来年度、もし野球をやりたいと言うならば、私は相当悩んだだろうと。素晴らしい決断の中、この日を迎えた。私は世界一の監督にしてもらった感謝は忘れません。リハビリをゆっくりしてもらって、第2の人生をスタートしてほしい」

言葉を贈った後には、グータッチし「グラウンドでしたかったな。ありがとう、ありがとう、ありがとう」と優しく言葉をかけた。